大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(ツ)22号 判決

訴訟において不動産物権の変動の有無が争われる場合に、物権の変動があつた事実を主張する者は、進んでその登記がなされたことまでも主張立証する必要はなく、かえつて物権変動の事実を争う者にその登記がないことの主張責任があるものと解すべきである。したがつて、仮に被上告人の本件家屋の所有権の取得は、その登記が所論の理由により無効であつて対抗要件を具えないため、実体法上これを上告人らに対抗しえないとしても、右の事実は上告人らが原審において進んで主張すべきであつたのである。ところが、上告人ら(控訴人ら)が原審において提出した昭和三一年七月二一日附準備書面(記録二三三丁)の第四項および同三二年一一月四日の口頭弁論調書(三二一丁)には、上告人らの主張として、被上告人(被控訴人)の所有権取得登記に関しほぼ所論の趣旨に符合する事実の記載があるが、上告人らは右事実を単なる事情として述べたのであつてこれを独立した防禦方法として主張したものでないことは、右口頭弁論調書および同三一年七月二三日附口頭弁論調書(二三五丁)に、特にその旨を明らかにした上告人らの陳述の記載があることに照し、疑を容れない。それゆえ、原審が右登記の点につき更に釈明をし、または進んで審理判断しなかつたことは当然であつて、原判決には所論の違法はない。

註 上告趣意書第一点

第一 原審判決には不動産物権に関する対抗要件に付ての法理を誤解した結果釈明権の行使を怠り審理不尽に陥つた違法がある。

(一) 被上告人は「本件建物はもと訴外江口丑作の所有であつたところ昭和十三年六月十五日同人の死亡により訴外江口市五郎が家督相続により右建物の所有権を取得し、次いで被上告人が昭和二十九年九月二日ごろ、同人よりこれを買い受け其の所有権を取得したものである。」旨を主張し上告人は之を否認しているのである。

(二) 従つて原審としては、右被上告人主張に係る事実の有無を審理するは勿論、右事実が認められるとしても更に進んで被上告人の所有権取得が合法有効なる対抗要件を具備し上告人等に対し所有権取得を以て対抗し主張し得べきや否やを審理判断しなくてはならない。

尚苟くも所有権を主張せんとする以上其の合法有効な対抗要件を具備する事実関係に付ては其の主張者即ち本件に於ては被上告人に於て主張立証の責任がある事は勿論である。

(奥田 牧野 青山)

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